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※内容は2026年8月時点のものです。
「開業届って、出さなくてもバレないよね?」
……正直に言うと、けっこう聞かれます。そして検索でも、「開業届 出さない」という言葉が実際に打ち込まれています。
「小さくやるだけなのに、大げさじゃない?」
「税務署って、なんだか怖い」
「出したら、税金がすごく増えるんじゃ…」
分からないこと・知らないことは面倒ですよね。でも、ちょっと待ってください。
出さないことで失うものが、思っているよりずっと大きいのです。しかも、それは何年も続きます。
今回は、開業届を出さないと実際どうなるのかを、正直にお話しします。
先にお伝えしておくと——「出さないと罰せられます!」という脅しはしません。 そこは事実と違うので。もっと現実的な話をします。
先にお伝えしたい3つのこと
1, 出さなくても、罰金はありません
これは事実です。煽られている情報も多いので、まず正確に。
2, でも、「もらえるはずのもの」がもらえなくなります
ここが本題です。 罰則より、こちらのほうがずっと痛い。
3, 出すのは無料で、10分で終わります
紙1枚です。あとで手順もお話しします。
そもそも開業届とは
開業届(正式には「個人事業の開業・廃業等届出書」) … 「わたし、事業を始めました」と税務署に知らせる書類です。
法律では、事業を始めてから1ヶ月以内に提出することになっています(所得税法229条)。
費用はかかりません。 紙を1枚出すだけです。
出さないと、どうなるのか
正直に言うと、罰則はありません
提出しなくても、罰金や科料はありません。 これは事実です。
「出さないと違法!」と書いてある記事もありますが、罰則規定がないというのが正確なところ。実際、出さずに何年もやっている個人サロンは存在します。
ただし。
「所得の申告」は、まったく別の話です
ここは絶対に混同しないでください。
| 出さないと | |
|---|---|
| 開業届 | 罰則なし |
| 確定申告(所得の申告) | これは義務。無申告は重いペナルティ |
開業届を出していなくても、稼いだら申告の義務はあります。 「開業届を出していないから申告しなくていい」ではありません。
そこだけは、はっきりお伝えしておきます。
本題:出さないと「もらえない」もの
罰則がないなら出さなくていいのでは、と思いますよね。でも、失うものが大きいのです。
① 青色申告ができない → 最大65万円の控除を逃す
これがいちばん大きいです。
青色申告 … きちんと帳簿をつけることを条件に、税金の優遇を受けられる制度です。
最大65万円が所得から差し引かれます。ざっくり言えば、税金がその分だけ安くなるということ。
そして、青色申告をするには開業届が必要です。開業届を出していない人は、そもそも申請できません。
毎年、数万円〜十数万円を損し続けることになります。
② 公的な支援に手を挙げられない
ここは、わたしが身をもって経験しました。 あとで詳しくお話しします。
補助金も、給付金も、融資も、「事業をやっている証明」を求められます。 開業届の控えは、その代表格です。
③ 屋号の銀行口座が作れない
「〇〇サロン」名義の口座を作るには、開業届の控えが必要なことがほとんどです。
個人名の口座でも営業はできます。ただ、お客様が振込をするとき、個人名だと少し不安に感じられることもあります。
④ 融資が受けにくい
日本政策金融公庫の創業融資でも、開業の事実を確認する書類を求められます。
⑤ 小規模企業共済に入れない
個人事業主向けの退職金制度のようなものです。掛金が全額、所得控除になります。
「サロンをやめるとき」のためのお金を、節税しながら積み立てられる制度。これも開業届がないと入れません。
【実体験】コロナ禍で、はっきり分かれました
数年前のコロナ禍のときの話です。
あのとき、一時的にお店を閉めることで公的な支援金を受け取れる制度がありました。わたしも不安になりながら、数ヶ月お店を閉めることができました。
しかしながら、申請に必要だったのがこれです。
- 開業届
- 営業を許可されている旨の記載がある賃貸借契約書
つまり——きちんと届出をしていた人だけが、手を挙げられたのです。
出していなかったお店は、どうなったか
わたしの周りでは、自宅マンションのサロンが軒並み店じまいをしたり、コロナにおびえながら営業を続けたりしていました。
理由は、そのマンションで営業することを届け出ていなかったり、そもそも開業届を出していなかったりしたからです。
店を閉めれば、当然入金の見込みがなくなります。 そして支援金の申請もできない。だから、営業を続けるほかなかった。
怖い思いをしながら、お客様を迎え続けるしかなかったのです。
ここから学んだこと
しなければならないことを、真面目にしっかり行動していれば、何かあったときに国や都道府県は助けてくれます。
…が、そこを無視してしまうと、いざというときに自分の首を絞める結果になります。
⚠️ ここで触れた支援金は、コロナ禍という非常時の時限的な制度で、現在は終了しています。同じ制度が今あるわけではありません。
ただ、「届出をきちんとしていた人だけが対象になる」という構造は、公的な支援に共通する考え方です。次に何かあったとき、手を挙げられる状態でいてください。
出し方は、拍子抜けするほど簡単です
「税務署」と聞くと身構えますが、実際は10分で終わります。
用意するもの
- 開業届(国税庁のサイトからダウンロード、または税務署にあります)
- 青色申告承認申請書(← セットで出します。後述)
- マイナンバーが分かるもの
- 本人確認書類
出し方は3通り
| 方法 | 特徴 |
|---|---|
| 税務署の窓口 | その場で聞ける。 初めてならこれが安心 |
| 郵送 | 控えを返してもらうため、返信用封筒を同封 |
| e-Tax(オンライン) | 慣れていれば早い |
初めてなら、窓口をおすすめします。 書き方が分からなくても、その場で教えてもらえます。怒られたりしません。
⚠️ 控えは必ずもらってください
提出して終わり、ではありません。
控えに受付印をもらう(またはe-Taxの受信通知を保存する)こと。これが「事業をやっている証明書」になります。
補助金の申請でも、屋号の口座を作るときでも、求められるのは控えのほうです。原本は税務署に行ってしまうので。
⚠️ 青色申告承認申請書は、必ずセットで
ここ、いちばん取り返しがつかないところです。
開業届を出しても、青色申告承認申請書を出さなければ、青色申告はできません。 別の書類です。
そして、提出期限があります。
- 開業から2ヶ月以内(その年から青色申告をする場合)
この期限を過ぎると、その年は白色申告しかできません。 最大65万円の控除が、まるまる1年分消えます。
開業届と一緒に、同じ日に出してしまってください。 それがいちばん確実です。
- 国税庁(青色申告について):https://www.nta.go.jp/
よくいただくご質問
Q. 出さなくても、バレないのでは?
いちばん聞きたいのは、ここかもしれませんね。 正直にお答えします。
「開業届を出していないこと」自体は、税務署に把握されません。 出していないのだから、当然です。
でも、「収入があること」は、別のルートで分かります。
- 取引先やサービス会社から税務署へ提出される書類
- 銀行口座の入出金
- ネット上の情報
つまり、「開業届を出していないから、収入も知られない」ということにはなりません。
そして——ここが大事なところですが、問題は「バレるかどうか」ではないのです。
繰り返しになりますが、開業届を出していなくても、稼いだら確定申告の義務はあります。 申告をしなければ、そちらにはしっかりペナルティがあります。
隠れることを考えるより、出して得をするほうに頭を使うほうが、絶対に楽です。
Q. 開業日は、いつにすればいい?
書類に「開業日」を書く欄があります。ここで手が止まる方、多いです。
厳密な決まりはありません。ただ、目安としては、
- お店をオープンした日
- または準備を本格的に始めた日(物件を契約した日など)
⚠️ 注意してほしいのは、青色申告承認申請書の期限が「開業日から2ヶ月以内」だということ。
開業日を古い日付にすると、その分だけ期限も早く来ます。 遡って書きすぎると、期限切れになってしまうことがあるので、そこだけご注意を…!
迷ったら、税務署の窓口で「この場合、開業日はいつにしたらいいですか」と聞いてしまうのがいちばん早いです。
Q. 副業でサロンをやる場合も必要?
事業として継続的にやるなら、必要です。
ただ、副業の場合は本業の勤務先との関係(就業規則、社会保険など)も関わってきます。判断に迷うところなので、税務署か税理士に一度確認するのが安全です。
Q. 赤字でも出すの?
出してください。 むしろ赤字のときこそ、青色申告のメリットがあります。
青色申告なら、赤字を翌年以降に繰り越して、黒字と相殺できます(純損失の繰越控除)。開業初年度は赤字になりやすいので、ここは効きます。
Q. 自宅サロンでも必要?
必要です。 場所は関係ありません。事業をしているかどうかです。
なお、自宅サロンの場合はマンションの管理規約も別途確認してください。開業届とは別の問題ですが、こちらも見落とされがちです。
Q. 開業して何ヶ月も経ってしまいました
いま出せば大丈夫です。 遅れたことへの罰則はありません。
ただし、青色申告承認申請書の期限は要注意です。開業日から2ヶ月を過ぎていると、その年は青色申告ができない可能性があります。税務署で相談してください。
Q. 出したら、税金が増える?
開業届を出したから税金が増える、ということはありません。
税金は「稼いだ額」で決まります。むしろ青色申告ができるぶん、出したほうが安くなります。
まとめ
1, 開業届を出さなくても、罰則はない(ここは正確に)
2, ただし確定申告は別の話。 稼いだら申告の義務がある
3, 出さないと、青色申告ができない(最大65万円の控除を逃す)
4, 公的な支援に手を挙げられない。 わたしはこれで助かりました
5, 屋号の口座、融資、小規模企業共済も使えない
6, 提出は無料で10分。 窓口なら教えてもらえる
7, 控えに受付印をもらう。 それが証明書になる
8, 青色申告承認申請書を必ずセットで。 開業から2ヶ月以内
9, 「バレるかどうか」ではない。 出さなくても申告義務はある
「出さないとどうなるか」を調べていた方へ。
脅すつもりはありません。 ただ、出さないことで得することは、ひとつもないのです。無料で、10分で、リスクだけが減る。それだけの話です。
そして——何かあったとき、手を挙げられる自分でいてください。 あのとき、それができた人とできなかった人を、わたしは見てきましたので。
あなたのお店が、長く続きますように!
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最後にひとつだけ
この記事は一般的な情報をまとめたものです。制度は改正されることがありますし、個別の事情によって扱いが変わります。
具体的な判断は、必ず税理士または所轄の税務署にご確認ください。
※内容は2026年8月時点のものです。

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