※内容は2026年8月時点のものです。
「技術には自信がある。でも、お客様ってどうやって来るの?」
開業準備が進んでくると、急にこれが怖くなりますよね。
物件が決まって、内装の話が始まって、什器を選んで————ここまではやることが目の前にあるので進みます。でも集客だけは、何から手をつければいいのか分からない。
「SNSはやったほうがいいの?」
「ホットペッパーって、出すべき?」
「そもそも、開店してから考えればいいのでは?」
わかります! わたしも同じところで止まりました。
先に言ってしまいますね。開店してから考えるのでは、間に合いません。 そして、新規のお客様を集めることばかり考えると、たいてい苦しくなります。
そのため今回は、開店前にやっておくことと、リピートの育て方を分けてお話しします。
先にお伝えしたい3つのこと
1, 集客は「新規」と「リピート」の2つに分かれます
ひとくちに集客と言いますが、やることも、かかるお金も、まったく別物です。ここを混ぜて考えると、いつまでも整理がつきません。
2, 小さいお店の勝負どころは、リピートのほうです
ひとりで回すお店は、そもそも入れられる人数に上限があります。 新規を追い続けるより、来てくださった方に戻ってきていただくほうが、現実的で、しかも消耗しません。
3, 予約の受け皿は、開店前に作っておく
「気になる」と思ってくださった方が、その場で予約できないと、そこで終わります。 ここは開店してからでは遅いところ。
集客には、必ず「何か」を払うことになります
これは、開業当時にお世話になった集客コンサルタントの方の言葉です。記事04でも少し触れました。
「金、時間、労力…集客はどれか、もしくはこの中の複数をかけなきゃいけません」
耳が痛いのですが、本当にそのとおりだったとわたしは思っています。
| 払うもの | 具体例 |
|---|---|
| お金 | 集客媒体への掲載料、広告費、チラシの印刷代 |
| 時間 | SNSの更新、写真の撮影、投稿の文章を考える |
| 労力 | 手書きのお礼状、チラシ配り、近隣へのあいさつ回り、紹介のお願い |
この3つのどれも払わずに、お客様が集まる方法はありません。
逆に言うと、自分がどれなら払えるかを先に決めておくと、迷いが減ります。お金に余裕がないなら時間と労力を、時間が取れないならお金を。そういう選び方です。
「どれも払いたくない」が、いちばん危ない状態。 ここだけは、正直にお伝えしておきますね。
開店前にやること:4つの手順
手順1|予約の受け皿を、いちばん先に作る
順番を間違えやすいところです。
宣伝を始めてから予約の仕組みを作るのではなく、受け皿を先に作ってから宣伝を始めます。
なぜかというと、人の「気になる」は長続きしないからです。投稿を見て「いいな」と思ってくださっても、そこから電話番号を探して、営業時間を調べて、連絡して————この間に熱は冷めます。
最低限、これだけは開店前に決めておきましょう。
- どこから予約を受けるのか(予約システム、SNSのメッセージ、電話、メール)
- その入口が、見つけやすい場所に置いてあるか
- 予約が入ったとき、自分にどう通知が来るのか
⚠️ 施術中は手が離せません。通知に気づけない時間帯がある前提で仕組みを選んでください。ここを甘く見ると、せっかくの予約を取りこぼします。
手順2|見つけてもらう場所を、2つに絞る
やり方は無数にありますが、開業直後に全部はできません。 ひとりでお店を回しながらだと、なおさら。
代表的なものを並べます。
| 場所 | かかるもの | 向いている場面 |
|---|---|---|
| Googleビジネスプロフィール | 時間・労力(掲載自体は無料) | 地図から探される。近くに住む人に強い |
| SNS(Instagramなど) | 時間・労力 | 作品の写真・動画が出せる業種は相性が良い |
| 集客媒体(ホットペッパービューティー等) | お金 | 新規を早く集めたいとき |
| 紹介 | 労力 | 開業前から繋がりがある場合 |
| チラシ・ポスティング | お金・労力 | 商圏が狭いお店 |
最初は2つで十分だとわたしは思っています。欲張ると、どれも中途半端になってしまいますので…!
業種によって効く場所が違うので、ここは同業の先輩に聞くのがいちばん早いです。ネイルやまつエクのように仕上がりが写真で伝わる業種と、リラクゼーションのように写真では伝わりにくい業種では、選ぶ場所が変わってきます。
手順3|「最初の10人」を、どこから連れてくるか決める
開店したその日に、検索から人は来ません。Googleに見つけてもらうまでには時間がかかります。
ですから、最初の10人だけは別枠で考えておきます。
- 前のお店から、ついてきてくださる方はいるか
- 友人・知人に、正直にお願いできるか
- 家族や身近な人から、その先に広がりそうか
⚠️ 前のお店のお客様に声をかけるのは、慎重に。 勤めていたサロンとの契約や約束事に触れる場合があります。就業規則や退職時の取り決めを必ず確認して、迷ったら声をかけないほうが安全です。狭い業界ですから、揉めごとは自分に返ってきます。
手順4|再来店の仕組みを、開店前に決めておく
ここがいちばん後回しにされがちで、しかもいちばん効くところです!
決めておくのは3つ。
1, 次回のご来店を、いつご案内するか(施術直後か、後日か)
2, お客様の記録を、どこに残すか(施術内容、会話、お好み)
3, どれくらいの間隔で来ていただくのが理想か
3つ目は業種で変わります。ネイルなら3〜4週間、まつエクなら3週間前後————自分の技術と、お客様の生活に合う周期があるはずです。それを先に言葉にしておくと、ご案内しやすくなります。
お客様の記録は、想像以上に武器になります
手順4の2つ目、お客様の記録についてだけ、少し詳しくお話しさせてください。
わたしがいちばん効果を感じたのがここだからです。
前回の施術内容だけでなく、会話の内容や、そのときの状況まで残しておく。 それだけで、次のご来店のときに「その後どうでしたか」と自然にお伺いできます。
お客様は、覚えていてもらえると嬉しいもの。 これは技術とはまったく別の、戻ってきていただく理由になります。
「えっ、結構前に来た時に話したことなんて、なんで覚えてるんですか!?」
長期のお休みのときにしかネイルができない、半年に一度ご来店くださる方に言われた言葉です。あんなに感動していただけたことを、いまでも覚えています。
紙のカルテでも始められますが、枚数が増えると探せなくなります。 わたしは当時これで苦労しました。
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顧客カルテをどう管理するかは、レジ選びとほぼ同じ話になります。サロンで最重要なのは、レジと顧客カルテが繋がっているかです。
集客媒体を使うかどうか(正直な話)
ホットペッパービューティーのような集客媒体は、新規のお客様を早く集められます。 ここは間違いありません。
ただ、デメリットも必ずセットです。 そこも書いておきますね。
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 新規のお客様が早く集まる | 掲載料がかかる(プランによって幅があります) |
| 予約の仕組みが最初から整っている | クーポン前提で来る方が多く、単価が下がりやすい |
| 検索に強い | 他店と並べて比較される |
| 実績がなくても始められる | 掲載をやめると、そこからの流入は止まる |
料金やプランは改定されますので、必ず公式サイトで最新の条件をご確認ください。
わたしの考えでは、「使う/使わない」ではなく「どう使うか」だと思っています。
媒体から来てくださった方を、そのまま媒体経由のお客様で終わらせるのか、お店のお客様になっていただくのか。 ここで、数年後がまったく変わってきます。
媒体は入口。 そう割り切って使うなら、費用対効果は十分にあると思います。
わたし自身は、丸2年で新規の方のご予約を受けられる余裕がなくなり、掲載をやめました。ずっと出し続けるものだとは思っていません。
看板が出せない物件のとき
マンションの一室や、2階以上の物件だと、看板が出せない、あるいは住所を公開しにくいことがあります。
この場合、通りすがりの新規はゼロだと思っておいたほうがいいです。全部を、ネットからの集客でまかなうことになります。
物件を選ぶ段階でここに気づけると、心の準備も、予算の準備もできます。
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マンションの一室でサロンを開くときの制約は、こちらにまとめました。
マンションの一室でサロンは開ける? 「事務所使用OK」でも断られる理由
看板を出せるかどうかは、物件選びの段階で確認できます。
【体験談】お客様ゼロから始めました
開店初日、来店数0人
ホットペッパービューティーへの掲載は、一週間前から始めていました。 それでも、もちろん来店人数は0人。
まあ、仕方ないよね。そりゃそうか、と思いつつ……。
最初の10人は、LINEにいるほぼ全員に連絡しました
友達、昔の職場の上司————LINEにいる人のほとんどに連絡して、場所とホームページを伝えて宣伝しました。
後にも先にも、自分のサロンに来てほしいと連絡したのは、この一度だけです。
でも、このとき来てくれた人が、8年以上経った今でも通ってくれていたりします。
だから、言わなきゃ損!
来てくださった方に、必ず聞いていたこと
ホットペッパーからパラパラと来てくださるお客様には、こういうことを自然に聞き出して、徹底的に分析していました。
- なぜ、このサロンに来たのか
- どうやって見つけたか
- どんなサロンを望んでいるか
- 今までサロンに行って、嫌だったこと
「言うのはタダ」の精神で、いろいろトライしていた時期です。
リピート率99%は、次回予約で作りました
いちばん効いたのは、次回予約をスムーズに取ることでした。ここで最終的にリピート率99%まで持っていきました。
ただ、次回予約って、「今日から起算して、だいたいこの辺りが適切な付け替え周期です」と伝えるだけでは、絶対に取れません。
だって、そのタイミングでネイルをしてもらうのは、今回の施術者じゃなくてもいいんですもん。
この辺は、テクニックですね。
手書きのカードと、はがき
手書きのウェルカムカードを必ず用意して、ご来店のあとには手書きのはがきを送っていました。
はがきには、再来店のお願いは一切書きません。 これもきちんと理由があります。
📖 あわせて読みたい
「なぜ次回予約は、周期を伝えるだけでは取れないのか」と「はがきに再来店のお願いを書かない理由」。
この2つは、リピートの育て方として別の記事にまとめました。
逆に、やらなくてよかった集客方法
正直に、うまくいかなかったほうも書いておきますね。
| やったこと | 結果 |
|---|---|
| 新聞のチラシ広告 | 反響ゼロ |
| 大金をはたいたファッション雑誌への掲載 | 反響ゼロ。笑 |
ただ、雑誌は箔が付いたので、よかったかな、と。「変なサロンは載らないはず!」という、一般的な感覚でのブランド力にはなった気がします。
それに、雑誌に載った店に通っているという気持ちからか……当時通ってくださっていた方々が、とても嬉しそうでした。
わたしがお店を始めたとき、お客様はゼロでした。
そこから数年かけて、リピート率は99%になりました。数字だけ見ると順調そうですが、最初の数ヶ月は本当に静かだったことを、今でも覚えています…!
よくいただくご質問
Q. SNSは、開店のどれくらい前から始めるべき?
早いほうがいいです。 ただ、内装や場所が決まっていない段階では、投稿する材料がありません。
物件が決まって、内装の準備が始まったあたりから、準備の過程そのものを出していくやり方が現実的だと思います。「お店ができていく様子」は、それ自体が見ていて楽しいものですし。
Q. フォロワーが少ないのに、意味はありますか?
あります。 ただ、期待するものを変えたほうがいいかもしれません。
フォロワーの数より、「気になった人が見に来たときに、判断材料があるかどうか」のほうが大事です。仕上がりの写真、料金、場所、雰囲気。ここが分かれば、フォロワーが少なくても予約は入ります。
Q. 開業当初は、価格を安くして集めるべき?
そこはよく考えてほしいところです。
安さで来てくださった方は、安さがなくなると離れます。 そして一度下げた価格は、上げるときにものすごく体力を使います。
期間を区切ったオープン記念にするのか、価格は据え置いて別のかたちでお礼をするのか。あとから戻せる形にしておくのがおすすめです。
Q. 集客にいくらかけるのが普通ですか?
業種、立地、媒体を使うかどうかで大きく変わるので、一般的な相場をお伝えするのは難しいです。
ただ、開業資金の中に集客費を組み込んでおくことだけは強くおすすめします。ここを見込んでいないと、開店してから捻出することになって、いちばん苦しい時期に苦しくなります。
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開業にかかるお金の全体像は、こちらにまとめています。集客・販促費も項目に入れています。
まとめ
1, 集客は「新規」と「リピート」に分けて考える
2, お金・時間・労力のどれかは必ず払う。 自分がどれを払えるか先に決める
3, 予約の受け皿を、宣伝より先に作る
4, 見つけてもらう場所は、最初は2つに絞る
5, 「最初の10人」は別枠で考えておく。検索からはすぐに来ない
6, 前のお店のお客様への声かけは慎重に(就業規則の確認を)
7, お客様の記録が、戻ってきていただく理由をつくる
8, 集客媒体は入口として割り切るなら十分に使える
9, 安さで集めると、安さで離れられる
集客って、技術の練習とは頭の使いどころがまるっきり違うんですよね。だから最初はしんどい。わたしもそうでした…!
でも、やることを分けて、順番に並べれば、必ず手はつけられます。 そして小さいお店なら、戻ってきてくださる方を大事にするだけで、ちゃんと回っていきます。
あなたのお店に、はじめの一人が来てくれますように!
最後にひとつだけ
この記事は、わたし自身の経験と一般的な情報をまとめたものです。集客の方法や費用は、業種・立地・時期によって大きく変わります。
集客媒体の料金やプランは改定されることがありますので、必ず公式サイトで最新の条件をご確認ください。
また、前職のお客様への連絡については、就業規則や退職時の取り決めをご自身で必ずご確認ください。
※内容は2026年8月時点のものです。

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