※この記事にはPRを含みます。
※内容は2026年8月時点のものです。
「税理士さんって、個人サロンでも頼むものなの?」
開業準備をしていると、どこかで必ずぶつかる疑問だと思います。
「顧問料が月◯万円って聞いたけど、そんな余裕ない…!」
「会計ソフトがあれば自分でできるって聞いたけど、本当?」
「そもそも税理士さんって、何をしてくれる人…?」
このあたり、わたしも最初、まったく分かっていませんでした。
そして調べるのも面倒で自分でいろいろやった結果、信じられないくらいの時間を溶かしました…
わたしのような方を減らすべく、今回は、税理士さんに頼む場合と自分でやる場合の違い、費用の目安、そしてどういう人が頼んだほうがいいのかを整理してみます。
先に言っておくと、「絶対に頼むべき」という話ではありません。 自分でやっている個人サロンさんもたくさんいらっしゃいます。判断材料のひとつとして読んでいただけたら嬉しいです。
先に結論
1, 税理士は「必須」ではありません
法律上、税理士に頼まなければいけない決まりはありません。自分で申告して大丈夫です。
2, ただし「時間」で考えると、話が変わります
税理士に払うお金と、自分が経理に使う時間。これを天秤にかけると、見え方が変わってきます。
3, 開業のタイミングで一度相談するのが、いちばんおいしい
顧問契約を結ぶかどうかは別として、開業時は特有の論点が多いので、一度話を聞いておくと後が楽です。ここは後半で詳しくお話しします。
そもそも税理士さんは何をしてくれるのか
ざっくり、この4つです。
| やってくれること | 中身 |
|---|---|
| 記帳(きちょう)代行 | 売上や経費を帳簿につける作業を代わりにやってくれる |
| 確定申告 | 1年分の数字をまとめて、申告書を作って提出してくれる |
| 税務相談 | 「これ経費になりますか?」に答えてくれる |
| 税務調査の対応 | 税務署が来たときに立ち会ってくれる |
記帳 … 売上や経費を、決まったルールで記録していく作業のことです。
契約の仕方は、大きく3パターンあります。
| 契約の形 | 中身 |
|---|---|
| ① 顧問契約 | 毎月みてもらう。相談し放題のことが多い |
| ② 記帳代行のみ | 帳簿づけだけお願いする |
| ③ 決算・申告のみ | 年に一度、確定申告のときだけお願いする |
「顧問契約しかない」と思い込まなくて大丈夫です。 ③だけでも受けてくれる事務所はあります。
費用の目安
事務所や規模によって幅がありますが、個人サロンの場合、だいたいこのあたりが目安と言われています。
| 契約の形 | 費用の目安 |
|---|---|
| 顧問契約(月額) | 月1〜3万円程度 + 決算料 |
| 記帳代行 | 月数千円〜1万円台(仕訳の件数による) |
| 決算・申告のみ | 年5〜15万円程度 |
⚠️ あくまで目安です。 地域、事務所の規模、売上の規模、依頼する範囲によって変わります。必ず見積もりを取って確認してください。
そして、多くの事務所が初回相談を無料にしています。まず話を聞いてみて、金額感を掴むところから始めるのがいいかと思います。
自分でやる場合と比べてみます
| 自分でやる(会計ソフト) | 税理士に頼む | |
|---|---|---|
| 費用 | 年1〜3万円程度(ソフト代) | 年10〜40万円程度 |
| かかる時間 | 毎月数時間〜 | ほぼゼロ |
| ミスのリスク | 自己責任 | 専門家がチェック |
| 相談相手 | いない(調べる) | いる |
| 節税の提案 | 自分で調べる | してもらえることが多い |
時間で考えてみると
例えば、経理に毎月5時間かかっているとします。
5時間 × 12ヶ月 = 年間60時間
この60時間で、施術を何人分できるでしょうか。その売上と、税理士費用を比べてみると、判断しやすくなるかもしれません。
もちろん「経理が好き」「数字を把握していたい」という方もいらっしゃいます。自分でやること自体に価値を感じるなら、それも正解です。ここは人によります。
因みにわたしは今では少しだけスムーズに一人で青色申告ができるようになりましたが、ここに来るまで本当に大変な思いをして勉強しました…
頼んだほうがいい人/自分でやれる人
あくまで一般的な傾向として、こんな整理ができるかと思います。
税理士に頼むことを検討したい人
- 売上が伸びてきた(年間の売上が1,000万円に近づいてきた = 消費税の話が出てくる)
- 従業員を雇っている(給与計算、源泉徴収などが発生する)
- 法人にしている、または検討中
- 数字を見るのが本当に苦手で、毎年ギリギリになっている
- 経理の時間を施術に回したい
自分でやれそうな人
- 一人でこぢんまりやっている
- 売上の規模がまだ大きくない
- 会計ソフトを触るのが苦にならない
- 分からないことを自分で調べられる
消費税のラインについて一言だけ。売上が一定規模を超えると、消費税を納める義務が出てきます。ここは制度が複雑で、インボイス制度との関係もあるため、心当たりがある方は必ず専門家か税務署に確認してください。
サロン開業ならではの論点
ここが本題かもしれません。開業のタイミングには、普段は出てこない話がいくつも出てきます。
① 開業前に使ったお金は、経費にできるかもしれません
物件を探すための交通費、開業前に買った備品、名刺の制作費、勉強のための書籍代。
開業前に使ったお金も、条件を満たせば経費として扱える場合があります。 これを知らずに、レシートを全部捨ててしまう方がいらっしゃいます。
開業を決めた時点から、領収書は全部とっておいてください。 判断は後からできます。
② 造作譲渡や内装は「資産」になります
居抜きで造作を譲り受けた場合、その代金はその年に全額経費にできるわけではありません。 資産として計上して、減価償却という形で数年に分けていきます。
減価償却(げんかしょうきゃく) … 高額なものを買ったとき、その金額を数年に分けて経費として計上していく仕組みです。
これ、どう分類するかで年数が変わります。 内装工事、空調設備、什器で、それぞれ扱いが違う。中古の資産には耐用年数を短く見積もれる方法もあります。
正直に申し上げると、ここは自力でやるとかなりややこしいです。 金額も大きいので、間違えたときの影響も大きい。
📖 あわせて読みたい
造作譲渡そのものの仕組みと、契約前に確認したい落とし穴はこちらにまとめています。
もしご自身で申告予定だとしても、ここだけでもスポットで質問に乗ってくれる税理士さんと契約してみてもいいかもしれません。
③ 現金商売なので、記帳の量が多くなりがち
サロンは日々の小さな取引が積み上がる業種です。材料の仕入れ、消耗品、細かい経費。
キャッシュレス決済やPOSレジを入れておくと、この記録がぐっと楽になります。会計ソフトと連携できるものを選んでおくと、あとの作業量が変わってきます。
📖 あわせて読みたい
決済の選び方は、こちらにまとめました。経理のことまで考えて選ぶと、あとの自分がかなり楽になります。
サロンのキャッシュレス決済、どう選ぶ? 手数料と入金サイクルの見方
レジは、会計ソフトに連携できるかが分かれ目です。ここを外すと毎月手打ちすることになります。
因みにわたしは一番初めから会計ソフトとクラウド連携できるキャッシュレス決済を導入していました。カードの決済手数料までちゃんと連携してくれて、売り上げ処理に関してはほぼノーストレスでした!!
④ 青色申告にするなら、早めの届出が必要です
青色申告にすると、最大65万円の控除など、いくつかの優遇が受けられます。
ただし、これには事前の届出が必要で、期限があります。開業のバタバタで出し忘れると、その年は受けられません。
- 国税庁(青色申告について):https://www.nta.go.jp/
開業届と一緒に出してしまうのが楽だし確実です。
📖 あわせて読みたい
開業届そのものについては、こちらにまとめました。出さないとどうなるのかという話も書いています。
だから「開業のタイミングで一度相談」がおすすめです
上の4つ、全部開業のときにしか出てこない論点です。そして、あとから遡って直すのが難しいものばかり。
- 領収書を捨ててしまった → 戻せない
- 届出の期限を過ぎた → その年は諦めるしかない
- 資産の計上を間違えた → 修正が面倒
顧問契約を結ぶかどうかは、あとで決めればいいと思います。ただ、開業の前後で一度だけでも専門家に話を聞いておくと、この手の取りこぼしを防げます。
初回相談を無料にしている事務所は多いので、まず話を聞いてみるだけでも価値があるかなと思います。
税理士さんの探し方
① 紹介サービスを使う
条件を伝えると、合いそうな税理士さんを紹介してくれるサービスがあります。利用は無料のことが多いです(税理士側が手数料を払う仕組みのため)。
自分でゼロから探すより早いですし、合わなければ断れます。
② 知り合いの紹介
同業のオーナーさんに聞いてみる方法。業界の事情が分かっている税理士さんに当たる可能性が高いのが利点です。逆に「ここの税理士さんは全然協力的じゃない」といった情報も聞いたりするので、どちらにしても周りの方に一度聞いてみると良いかもしれません。
③ 地元の商工会議所などで相談する
無料の相談会をやっていることがあります。まず制度の話を聞きたいだけなら、ここでも十分かもしれません。
選ぶときに見たい4つのポイント
1, 料金体系が明確か
「顧問料に何が含まれるのか」「決算料は別なのか」「相談は何回まで無料か」。あとで追加請求にならないよう、最初に確認しておきましょう。
2, 連絡手段が自分に合うか
チャットやメールでサッと聞ける事務所もあれば、電話や訪問が基本の事務所もあります。
サロンは日中、手がふさがっています。 施術中に電話がかかってくるより、チャットで夜に返せるほうが合う、という方は多いのではないでしょうか。
3, 小規模事業者の対応に慣れているか
大企業を中心に見ている事務所と、個人事業主を多く見ている事務所では、勝手が違います。「自分と同じくらいの規模のお客さんが多いか」を聞いてみてください。
4, 話していて質問しやすいか
これ、地味に一番大事かもしれません。
分からないことを「分からない」と言える相手かどうか。 専門用語で押し切られて、聞き返せない雰囲気の方だと、結局相談しなくなってしまいます。
初回相談は、こちらが相手を選ぶ場でもあります。遠慮せずに、いくつか回って比べてみてください。自分の理解度に合わせて分かりやすく説明してくれる方だと尚良いですね!
よくいただくご質問
Q. 開業したてで売上もないのに、頼む意味ありますか?
顧問契約は、まだ早いかもしれません。
ただ、開業時の論点(開業費、資産計上、青色申告の届出)だけでも一度相談しておくのは、売上に関係なく意味があると思います。ここは「今しかできない」ことなので。
「まだ顧問契約は考えていないのですが、開業時の相談だけできますか」と正直に伝えて大丈夫です。
Q. 会計ソフトと税理士、両方いるの?
両方使うのが一般的です。
会計ソフトで日々の記録をつけて、税理士さんがそれをチェックする、という形。最近は税理士さん側も「このソフトを使ってください」と指定することがあります。
なので、税理士に頼む予定があるなら、契約前にどのソフトを使うか相談しておくと二度手間になりません。
Q. 途中で変えられますか?
変えられます。ただ、年度の途中で変わると引き継ぎが面倒なので、変えるなら区切りのいいタイミングがおすすめです。
合わないと感じたまま何年も続けるより、早めに動いたほうがいいと思います。
Q. 「法人にしたほうがいい」と言われたのですが
開業したばかりなら、まだ考えなくて大丈夫だと思います。
法人化(お店を会社にすること)が有利になるのは、利益がある程度の水準を超えてからです。目安として語られる金額はありますが、社会保険料や決算の費用も増えるため、「いくらを超えたら必ず得」という線引きはできません。ここは本当に人によります。
ただ、お店が軌道に乗って「そろそろかも」と思ったときは、早めに相談してみてください。
法人化は動く前に決めるかどうかで税額が変わることがあります。「した後」ではなく「する前」に聞くほうが、選べる幅が広いです。
法人化の相談だけを専門に受けている窓口もあります。
法人化の無料相談ができる窓口を見てみるわたし自身は法人にしていません。 ですから使ってみた感想はお話しできませんが、「いつか考える日が来る」ということだけ、頭の隅に置いておいていただけたらと思います。
なお、無料相談を受ければそのあと提案の連絡は来ます。 「まだ検討中です」と伝えれば大丈夫ですが、そこは知っておいてくださいね。
まとめ
1, 税理士は必須ではない。自分でやってもいい
2, ただし「経理に使う時間」と費用を天秤にかけると、見え方が変わる
3, 費用の目安は顧問で月1〜3万円、申告のみなら年5〜15万円程度
4, 開業のタイミングには特有の論点がある(開業費・資産計上・青色申告の届出)
5, それらはあとから取り返しがつかないものが多い
6, だから顧問契約は保留でも、一度は相談しておくと安心
7, 初回相談が無料の事務所は多い。まず聞いてみるところから
お金の話も、税金の話も、正直とっつきにくいですよね。わたしも「なんとなく分かったふり」をして何年か過ごしました。
でも、聞いてしまえば10分で解決することが、悩んでいると3ヶ月かかったりします。 専門家は、そのために存在しているので賢く使うのが吉。
頼れるところは頼って、あなたは施術に集中できる形を作っていきましょう!
最後にひとつだけ
この記事は一般的な情報をまとめたものです。税務の取り扱いは、事業の形態・規模・時期によって変わります。制度も改正されます。
具体的な判断は、必ず税理士または所轄の税務署にご確認ください。
※内容は2026年8月時点のものです。

コメント