サロン開業のお金、結局いくら必要? 費用の全体像を分解します

開業のお金

※この記事にはPRを含みます。

※内容は2026年8月時点のものです。


「サロンを開くのに、結局いくらかかるの?」

これ、いちばん知りたいのに、いちばん答えが見つからない質問だと思いませんか。

検索すると「100万円で開けます!」という記事もあれば「1,000万円かかりました」という記事もあって、『いや、どっちなの…!』となる。わたしもそうでした。

なぜこんなにバラつくかというと、業種と規模と物件のタイプで、桁がひとつ変わるからです。マンションの一室でネイル1席と、路面店で美容室を開くのとでは、そもそも比べる意味がないくらい違います。

そのため本日は、「いくらかかるか」を一発で答えるのではなく、費用を7つに分解して、あなたの場合はどうなるかを自分で計算できる形にしてみます。

電卓を横に置いて読んでいただけたら嬉しいです!


先に結論:総額のざっくりレンジ

細かい話の前に、規模感だけ。あくまで目安ですが、こんなイメージです。

開業のかたち初期費用の目安
自宅サロン(すでにある部屋を使う)10〜80万円
マンションの一室を借りる(1〜2席)50〜300万円
路面店・テナント(スケルトンから)300〜1,000万円以上

そして——ここが本題なのですが、このどれを選んでも、忘れられがちな費用が1つあります。

それが 運転資金。あとで詳しくお話ししますが、ここを見落とすと本当に苦しくなります。


費用を7つに分解します

A|物件にかかるお金

保証金(敷金)、礼金、仲介手数料、前家賃、火災保険、保証会社利用料。物件を借りる場合、最初にまとまった額が出ていきます。

家賃20万円の物件なら、初期費用が200〜300万円になることも珍しくありません。

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物件まわりの詳細は、別の記事にまとめています。保証金の償却や電気容量など、契約前に確認したいことを12項目のチェックリストにしました。

サロンの物件探しで、契約前に見ておきたいこと

B|内装・設備工事

ここが一番ブレます。

物件のタイプ費用感
居抜き(前のお店の内装が残っている)数十万円〜。ただし造作譲渡料が別途かかることが多い
スケルトン(コンクリむき出し)数百万円。坪単価で計算されるのが一般的

例えばネイルサロンなら、給排水の工事が最小限で済むぶん、美容室より抑えられます。逆にシャンプー台を入れるとなると、水道工事の費用が一気に効いてきます。

内装業者さんへの相談は、物件を決める前に。 これは本当におすすめです。「この物件でこの施術をやりたい」と伝えると、概算を出してもらえます。

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居抜きを選ぶなら、造作譲渡料が0円になることもあるという話を知っておいてください。交渉の見え方が変わります。

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C|什器・備品

椅子、デスク、施術ベッド、ワゴン、収納、鏡、照明、待合のソファ。

新品でそろえると気持ちがいいのですが、ここは中古やアウトレットを賢く使えるところでもあります。お客様の目に触れないもの(バックヤードの棚など)から中古にしていくと、見た目を保ちつつ抑えられます。

D|材料・商材の仕入れ

ジェル、カラー、パーツ、消耗品、タオル、シーツ、消毒用品。

開店時は一通りそろえる必要があるので、まとまった額になります。そして地味に大事なのが、開店してからも毎月かかり続けるということ。初期費用としてだけでなく、毎月の支出としても計算に入れておきましょう。

E|集客・販促

ホームページ、予約サイトへの掲載料、名刺、ショップカード、チラシ、SNSの初期投資。

ここを削りすぎると、お店ができてもお客様が来ません。 技術には自信があっても、知られていなければ予約は入らないので。当時集客のためのコンサルタントを契約していましたが「金、時間、労力…集客はどれか、もしくはこの中の複数をかけなきゃいけません」とよく言われていました。

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「では、そのお金と時間を何に使うのか」。集客の順番と、開店前にやることをまとめました。

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F|お店の仕組み(決済・レジ・予約・会計)

  • キャッシュレス決済の端末
  • レジ(POSレジ)
  • 予約システム
  • 会計ソフト

金額としては大きくありませんが、開業日までに必ずそろえる必要があるものです。特に決済端末は審査に時間がかかるので、早めに動かないと『オープン日に現金しか使えない』という事態になります。

このあたりは、記事の最後でもう少し詳しくお話しします。

G|運転資金 ★ここがいちばん大事です

声を大にしてお伝えしたいのがここ!

運転資金とは、開店してから売上が安定するまでの間、お店を回し続けるためのお金です。

家賃、光熱費、材料費、通信費、そして自分の生活費。これらは、お客様が1人も来なくても毎月出ていきます。

開業してすぐに予約でいっぱい、ということは、あまり起きません。技術があっても、知られるまでに時間がかかるからです。数ヶ月かけてじわじわ埋まっていく、というのが自然な形。

ですから、最低でも3〜6ヶ月分の運転資金を、初期費用とは別に確保しておくのが安全と言われています。

例えば、月々の固定費が30万円なら——

30万円 × 3ヶ月 = 90万円
30万円 × 6ヶ月 = 180万円

これを、内装や什器のお金とは別に用意しておく。

『そんなに?』と思われたかもしれません。でも、ここがあるかないかで、開業してからの精神状態がまったく違います。 お金が減っていく、来週の支払いに間に合うかな…!? と考えながら恐怖の中で接客するのは、想像以上にしんどいです。


見落としがちな費用リスト

計算に入れ忘れやすいものを挙げておきます。チェックしてみてください。

  • 運転資金(上でお話ししたもの。最重要)
  • □ 工事期間中の家賃(内装をしている間も発生します)
  • □ 保健所の届出に関わる費用(業種による)
  • □ 各種保険(賠償責任保険など)
  • □ インターネットの開通工事費
  • □ 事業系ごみの処理費用
  • □ 看板の制作費と設置費
  • □ 開業のあいさつ・オープン記念の販促費
  • 自分の生活費(これを忘れる方が本当に多いです)
  • □ 退去時の原状回復費用(今すぐではありませんが、頭の片隅に)

お金をどうやって用意するか

① 自己資金

自己資金がどれくらいあるかは、融資の審査でも見られます。

「総額の3分の1程度は自己資金で」とよく言われますが、これは絶対のルールではありません。ただ、自己資金が多いほど審査で有利になりやすい、というのは一般的な傾向です。

そしてもうひとつ大事なのが、コツコツ貯めた記録が残っていること。 通帳を見て、毎月少しずつ積み上げてきた形跡があると、「計画的な人だ」と評価されやすいと言われています。

② 日本政策金融公庫の創業融資

創業時の資金調達では、日本政策金融公庫が最初の選択肢になることが多いです。国が100%出資している金融機関で、創業者向けの融資制度を扱っています。

必要になるのが事業計画書です。 「いくら必要で、何に使って、どうやって返すのか」を書類にまとめる作業。

面倒に感じるかもしれませんが、これを作る過程で、自分の計画の穴が見えてきます。 わたしは「書かされる書類」ではなく「自分のための整理」だと思っています。実際、数字に落とすと『あれ、この家賃だと厳しくない?』みたいなことに気づけます。

③ 補助金・助成金

条件に合えば、返さなくていいお金が使える場合があります。

例えば、小規模事業者向けの販路開拓を支援するものや、ITツールの導入を支援するものなど。ただし、制度の内容・募集時期・条件は毎年のように変わります。

そのため、ここで具体的な金額や条件を書くことはしません。かならず最新の公式情報を確認してください。

  • ミラサポplus(中小企業・小規模事業者向けの支援情報):https://mirasapo-plus.go.jp/
  • お住まいの自治体のホームページ(自治体独自の開業支援がある地域もあります

⚠️ 補助金は「先に自分で払って、あとから戻ってくる」形が一般的です。つまり、一時的には自分でお金を用意する必要があります。「補助金が出るから大丈夫」という資金計画は危ないので、ご注意を…!


資金計画の作り方(4ステップ)

数字が苦手でも大丈夫です。順番にやれば形になります。

1, 上のA〜Gを、自分の場合で埋める

まずはざっくりで構いません。 分からないところは「たぶんこのくらい」で置いておきましょう。

2, 見積もりを取って、数字を実際のものに置き換える

内装業者さん、不動産会社さん、什器の販売店。見積もりは複数社から取ってください。 同じ工事でも金額がけっこう違います。

3, 毎月の固定費を計算して、運転資金を出す

家賃+光熱費+通信費+材料費+生活費。これに3〜6を掛けます。

4, 「いくら足りないか」を出す

必要な総額 − 自己資金 = 借りる必要がある額

ここまで来れば、融資の相談に行く準備ができています。


【失敗談】こだわって選んだ什器が、まさかの使えず…!

実際に開業してみて、一つ失敗だったことがあります。

リクライニングチェアを置いてサイドテーブルを二つ置き、お客様は片手を出しながら、ゆっくりくつろぎつつわたしが施術を行うスタイルにする! と初めから決めていました。当時そういった高級志向のサロンはなく、とにかくお客様の負担を減らし、ほかのサロンではやっていない差別化の一つとして考えていました(今ではだいぶそのスタイルのサロンも増えましたよね)。

しかし、テーブル・リクライニングチェアを用意してびっくり。わたしのオープンしたネイルサロンは縦に長く、間取り的に配置はできるものの、わたしが左右のテーブルにいちいち移動してネイルを施術するスタイルをするためには、移動するための動線の余裕が全くありませんでした…

おかげで、そこそこの金額がしたサイドテーブルは二つとも奥にしまい、通常のネイルテーブルを追加で用意した経験があります。

皆さん、間取りや什器の大きさ確認は使用するときまで考えてしっかり選びましょうね…


よくいただくご質問

Q. 自己資金ゼロでも開業できますか?

まったく不可能とは言いませんが、かなり厳しいと思っておいたほうがいいです。

融資の審査で不利になりますし、なにより運転資金がない状態で始めるのが危険だからです。開店直後に予約が埋まらなかったとき、耐える体力がありません。

急がば回れで、まず自己資金を貯める期間を作るほうが、結果的に近道になることが多いかと思います。

Q. 最初から広い店舗にすべき?

わたしは小さく始めることをおすすめします。

理由は、固定費が軽いほど失敗しにくいからです。家賃も光熱費も、広いほど高くなります。そして一度契約すると、簡単には縮小できません。

お客様が増えて手狭になったら、そのとき移ればいい。「最初から完璧」を目指さないほうが、続けやすいと思っています。

Q. 予算をオーバーしそうです。どこを削ればいい?

削る優先順位をつけるなら、こんな順です。

1. 什器・備品(中古やアウトレットで代替できる)

2. 内装の装飾部分(機能に関わらないところ)

3. 開業のタイミングを遅らせて、もう少し貯める

逆に、削らないほうがいいもの

  • 運転資金(ここを削るのがいちばん危険)
  • 設備の安全性・衛生に関わる部分
  • 集客への投資(お客様が来ないと始まりません)

物件とお金のめどが立ったら、次はお店の仕組みです

資金計画ができて、物件も決まった。ここでホッとしたいところですが、実はもうひとつ山があります。

開業日までに、お店を回すための仕組みをそろえる必要があるのです。

決めるものなぜ早めに動くべきか
キャッシュレス決済審査に時間がかかります。 間に合わないと現金のみでのオープンに
レジ(POSレジ)売上の記録。確定申告のときに効いてきます
予約システム施術中に電話が鳴り続ける生活を避けるために
会計ソフト開業初日からの記録が必要です
税理士に頼むかどうか自分でやるか、任せるか

金額としては大きくありません。でも、選び方を間違えると毎月じわじわ効いてきます。 決済の手数料は売上から引かれ続けますし、予約システムは月額課金です。


レジと会計ソフトについて、少しだけ補足を

上の表のうち、この2つだけ補足させてください。わたしが当時いちばん時間を取られたところなので。

POSレジ選びは、10年前は本当に大変でした

正直に言うと、当時は比較できるサービスがほとんどなくて、1社ずつ個別に資料請求していました。 届いた資料を並べて見比べて、また別の会社に問い合わせて…。

あれ、本当に時間を持っていかれました。開業準備でいちばん忙しい時期に、です。

いま調べてみたら、条件を伝えると合うレジを提案してくれる無料相談のサービスがあるのですね。

【レジチョイス】ピッタリのPOSレジを無料相談で探す

当時これがあったら、間違いなく使っていたと思います…!

ただ、正直なところも書いておきます。相談すれば、当然そのあと提案の連絡は来ます。 「まだ検討中です」と言えば大丈夫ですが、電話でのやりとりが苦手な方は、心の準備をしておいてくださいね。

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レジの選び方は、こちらに詳しくまとめました。サロンで最重要なのは顧客カルテと繋がるかです。

サロンのPOSレジ、どう選ぶ? 決済との違いと、見るべき5つのこと

会計ソフトは、わたしはマネーフォワードを使っています

こちらは実体験でお話しできます。開業したときに入れて、今日までずっと使い続けています。

マネーフォワード クラウド

理由はシンプルで、銀行口座やカードと連携すると、明細が自動で取り込まれるからです。手打ちの量が減ると、経理が「まとめてやる面倒な作業」から「たまに確認する作業」に変わります。

ただ、フェアではないので正直に書きますね。 わたしは他の会計ソフトを本格的に使ったことがありません。ですから「マネーフォワードが一番いい」とは言えません。freeeも弥生も、それぞれ使いやすいという声を聞きます。

どれを選ぶにしても、開業前に決めて、初日から記録を始めること。 そこがいちばん大事だと思っています。あとからまとめて入力するのは、本当に地獄なので…!

💡 IT導入補助金など、ツールの導入に補助金が使える場合があります。 条件や募集時期は毎年変わるので、興味があれば導入相談のときに聞いてみてください。


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決済の選び方は、こちらに詳しくまとめました。手数料より先に見るべきものがあります。

サロンのキャッシュレス決済、どう選ぶ? 手数料と入金サイクルの見方

税理士に頼むかどうか迷っている方は、こちらもどうぞ。開業のときにしか決められないことを整理しています。

サロンに税理士は必要? 自分でやる場合との違いと、費用の目安


おわりに

長くなったので、大事なところだけもう一度。

1, 業種と規模で桁が変わるので、他人の総額はあまり参考になりません

2, 費用はA〜Gの7つに分解して、自分の場合で計算する

3, 運転資金を3〜6ヶ月分、初期費用とは別に確保する

4, 自分の生活費を計算に入れる

5, 削るなら什器から。運転資金と集客は削らない

6, 補助金は「あとから戻ってくる」形が一般的。当てにしすぎない

お金の話は、正直しんどいですよね。楽しいのは内装やメニューを考えるところで、電卓を叩く時間ではありません。

でも、ここをちゃんとやっておくと、開店してからの自分がすごく楽になります。 未来の自分への仕送りだと思って、いまのうちに数字と向き合ってみてください。

あなたのお店が、長く続きますように!


最後にひとつだけ

この記事の金額はすべて目安です。地域・業種・規模・時期によって大きく変わります。

融資・補助金・税金の制度は変更されることがあります。実際の手続きにあたっては、日本政策金融公庫・自治体の窓口・税理士など、それぞれの専門家に必ずご確認ください。

※内容は2026年8月時点のものです。

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